テキスト言語の壁:プログラミング教育における課題と解決策
ビジュアル言語とテキスト言語の違い
最近の小学生向けプログラミング教育では、Scratch(スクラッチ)やViscuit(ビスケット)など、ブロックを組み合わせるようなビジュアル言語が主流です。
これは、絵でプログラミングできるので子どもたちも楽しく学べるし、間違いが起こりにくい設計になっています。まさに「プログラミングの入り口」としては最高なんですよね。
一方で、JavaやPython、C言語のように文字(テキスト)で書く言語を「テキスト言語」と呼びます。
問題は、ビジュアル言語からこのテキスト言語に移行するときに「大きな壁」があるということなんです。
「壁」がある理由:テキスト言語は難しい!
この「テキスト言語の壁」は、以下のような理由で子どもたちにとって高く感じられます。
- 言語が英語ベース
たとえば「print」「if」「else」など、命令文が英語で書かれているので、英語に慣れていない子にとっては意味不明なんです。
- シンタックスエラーが多発
スペルミスや文法ミスで「エラー」が出ると、初心者は何が悪いのかさっぱりわからなくなってしまいます。
- できることの範囲がわかりにくい
ビジュアル言語はあらかじめできることがブロックとして用意されているので「迷うこと」がありません。
でも、テキスト言語ではライブラリなどの知識も必要になり、逆に自由すぎて迷子になりがちです。
壁を低くしようという取り組み
このテキスト言語の壁をなんとか低くしようという試みも、もちろん存在します。
たとえば、日本語でプログラムが書ける「なでしこ」や「ドリトル」といった言語。
また、教育版マインクラフト(Minecraft Education)のように、ブロックで作ったプログラムを自動でテキストに変換する仕組みもあります。
こういった試みは確かに画期的ですが……私自身の実感としては「あまりうまくいっていない」というのが正直なところです。
子どもは「簡単な方」を選ぶもの
なぜなら、どれだけテキスト言語を日本語にしたとしても、子どもたちにとってはブロックのほうが圧倒的に簡単で楽しいんですよ。
「楽しい・簡単」VS「難しい・面倒くさい」になったら、そりゃ前者を選びますよね。これは子どもに限らず、私たち大人も同じです。
だから「壁をなくす」「ハードルを下げる」という方向では、根本的な解決にはならないと私は思っています。
では、どうすればいいのか?
私が考えるアプローチはこうです。
「壁を越えたい!」と思わせることが大事。
「大丈夫、怖くないよ」「簡単だからやってみよう」ではなくて、あえて難しいけどかっこいい、チャレンジしたい!と思わせる。これが鍵だと感じています。
たとえば、子どもがビジュアル言語で楽しくゲームを作っているとします。
でもあるとき、「もっと複雑なことがしたい」「スクラッチじゃできないこともやってみたい」と思ったとき、初めて「テキスト言語を学びたい」という気持ちが芽生えるんです。
プログラミングに「興味を持つ」フェーズを作る
ここが大切なポイントです。
最初は「楽しいからやってる」「ゲームが作れるからうれしい」だった子どもたちが、あるとき「プログラミングそのものに興味を持つ」ようになる。その段階に行って初めて、テキスト言語に自分から近づこうとするんです。
たとえば:
- 「テレビで見たすごいプログラマーがJavaを使っていた!自分もやってみたい」
- 「スクラッチじゃ表現できない複雑な動きをやってみたい」
- 「リストって何?どうやったらもっと便利に使えるの?」
こういう好奇心が芽生えたときがチャンスです。
壁は「なくす」ものではなく「越える価値を伝える」もの
結局のところ、テキスト言語の壁を低くするのではなく、壁を乗り越える価値を伝えることが大切なんです。
- 越えたらどんな世界が待っているのか
- 越えたらどんなことができるようになるのか
- 越えること自体が「かっこいい」ことなんだということ
そうやって、子どもたちの中に「自分もやってみたい」という気持ちを育てること。
これが一番大事なんじゃないかと、私は思っています。
まとめ
テキスト言語の壁は、確かに存在します。
でもそれを「なかったこと」にするのではなく、「乗り越えたくなる壁」に変えることが、これからのプログラミング教育に求められているのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まとめQ&A
Q1. テキスト言語の壁とは何ですか?
A. テキスト言語の壁とは、Scratchなどのビジュアルプログラミング言語から、PythonやJavaのようなテキストベースのプログラミング言語へ移行する際に、多くの子どもたちが直面する「難しさ」のことを指します。英語ベースの記述、シンタックスエラー、環境の複雑さなどが原因です。
Q2. なぜ子どもにとってテキスト言語は難しいのですか?
A. 英語の命令文が多く使われるため言語的ハードルがあり、また文法ミス(シンタックスエラー)で動かなくなることが多く、直感的に操作できるビジュアル言語と比べて難しく感じられるからです。
Q3. 日本語のプログラミング言語はテキスト言語の壁を越える助けになりますか?
A. 一定の効果はありますが、根本的な解決にはなりにくいという意見もあります。言語が日本語になっても、構文や概念の複雑さは依然として存在するため、子どもが「簡単」と感じるとは限りません。
Q4. どのようにすれば子どもがテキスト言語に挑戦しやすくなりますか?
A. 「壁はあるけど、乗り越えると楽しい」「カッコいい」と思えるような心の動機づけが重要です。単に「簡単だからやってごらん」ではなく、「チャレンジしたくなる気持ち」を育てることが効果的です。
Q5. プログラミング教育で大切なことは何ですか?
A. プログラミングを「道具」として使う楽しさを知ることと、やがて「プログラミングそのもの」に興味を持つようになることの両方が大切です。学びのフェーズごとに適切なモチベーション設計が必要です。
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