Scratchは商用利用可能? – 教室でScratchを使う時のポイントを大公開!

昨年書いたこちらの記事がよく読まれているようなのですが、そこにアクセスいただいているキーワードの多くが「Scratch 商用利用」であるということに気がついたので、改めてこちらの記事を投稿してみます。

Scratchとライセンスについて考えよう

プログラミングを始めるときによく使われるScratchですが、Scratchに関わるライセンスについて整理してみましょう。 著作権とライセンスについて考えてみたこちらの記事に…

とりあえず結論

時間のない方も多いと思いますので結論から書いておきますと“商用利用可能”です。しかしいくつか注意点もあるので、以下諸々書いておきたいと思います。

利用ライセンス等の費用はかかるのか?

Scratchは現在、Scratch財団MITメディアラボライフロングキンダーガーテンによって管理運営されています。公開されているサイト(Scratchのプログラミング画面、作品を共有・投稿するページやその他のリソース)はすべて無償で使用可能です。Scratchのドキュメントにもそのように書かれているので、気になる方は以下のページを確認してください。

寄付のページにもある通り、Scratchの運営には寄付や助成金が使われいます。もしプログラミング教室やスクール等で利用して売り上げが良ければ寄付もご検討ください。このページからどなたでも寄付が可能です。(ちなみにこちらを書いている倉本も書籍の売り上げの一部を寄付したりしています。)

寄付者のページを見てみると、LEGO財団Google(アメリカの)国立科学財団など様々なサポーターによって、運営に係る費用などを賄われていることもわかります。無償で使わせてもらっていますが、多額の費用がかかったプロジェクトであることも忘れてはいけませんね。

教材や資料・教室のパンフレット等にScratchは載せていいの?

こちらも問題ありませんがいくつか注意が必要です。まず以下のFAQの回答からは、Scratchについての説明を追加することが推奨されています。その中にも「ScratchはScratch財団がMITメディアラボのライフロング・キンダーガーテン・グループの協力により開発しているプロジェクトです。」とある通り、まるで自分たちが作ったかのような誤解を与えるような掲載の仕方は問題でしょう。

また、一部の素材には、Scratchが商標登録しているものがあります。Scratchのスプライトのコスチューム等はSVGファイルとして書き出したりすることが可能です。しかし可能だからといってそれら単体で使って装飾のように利用したりすることは避けるべきです。「Scratchのロゴ、Scratchキャット、Gobo、Pico、Nano、Giga、TeraはScratchの商標です。これらはScratchチームからの明示的な許可なく使用することはできません。」と書いてある通りです。

もし素敵なネコのTシャツなどグッズが欲しい場合は公式のストアを利用しましょう。

他に注意する点は?

Scratchアカウント

Scratchを使うにはアカウントを作成すると便利に使うことができますが、現在個人単独でアカウントを作成できるのは16歳以上となっています。16歳未満のアカウント作成には保護者のメールアドレスの入力が必要です。厳密に保護者(=親)である必要があるかどうかはさておき、そのアドレスには様々な通知も送られてきますので、保護者としてアカウントを監督できる立場の方のアドレスを使うとともに、そういった保護下のユーザーの行動には目を配る責任が伴うことを忘れないでください。親に代わって作成することがあったとしても保護者の理解と同意は得ると良いでしょう。

Scratchの障害発生時

無償で利用可能なScratchですが、時々アクセス集中やメンテナンスなどの影響で動作が不安定になることもあります。そのことも見越して代替の環境も準備しておくと良いでしょう。代替の環境の公式なものには、Scratchアプリがあります。また非公式ですがオンラインにもScratchのオープンソース版を改造したScratch同等のサイト(Stretch3など)も存在します。

メンテナンスや障害の情報はScratchのSNSアカウントをウォッチすると気づきやすいかもしれません。

Scratchのサイトに共有していいものは?

Scratchにはコミュニティ・ガイドライン があります。ここに書かれていることは利用する子どもたちとも共有をしてそれに則った活動をしましょう。また著作権や肖像権、プライバシー等に関わる問題が共有(公開)される作品に問題がないかも確認するといいですね。なぜそれがダメなのか、著作権とはというお話の機会になると良いですね。その辺りのライセンスに関わる話はこの記事を書くきっかけになった元の記事にも書きましたので併せて参考にしてください。

まとめ

まとめておくと

  • Scratchは無償で商用利用が可能です
  • Scratchについての説明を表記することが推奨されています
  • 一部の素材はScratch財団が登録商標として権利を有しているため許可が必要になります

その他Scratchについて気になる点があればお気軽にお問い合わせください