Scratchとライセンスについて考えよう
プログラミングを始めるときによく使われるScratchですが、Scratchに関わるライセンスについて整理してみましょう。
著作権とライセンスについて考えてみたこちらの記事にも出てきましたがCC(クリエイティブ・コモンズ)というライセンスをScratchは採用していますので、その辺りを中心に話を進めていきます。
Scratchは言わずと知れたプログラミングツールの一つですが、ChatGPTにちょっと聞いてみてまとめてもらいました。
「Scratchというプログラミングツールについて簡潔に教えてください。特徴や何ができるのか知りたいです。」
Scratchは、プログラミング初心者向けのビジュアルプログラミング言語です。以下がその特徴や機能です:
- ビジュアルプログラミング: ブロックを組み合わせてコードを作成するため、文法を覚える必要がなく直感的です。
- ブロック形式のコーディング: 様々なブロックをつなぎ合わせて、アニメーションやゲーム、ストーリーなどを作成できます。
- 教育用途に適したツール: 教育現場で利用され、プログラミングの基礎を学ぶのに適しています。コーディングの基本的な概念を直感的に理解できます。
- 多彩なプロジェクト作成: アニメーション、ゲーム、ストーリーなど様々なプロジェクトを作成できます。音声やグラフィックを使った作品も可能です。
- コミュニティと共有: Scratchコミュニティで作品を共有し、他の人のプロジェクトを見たり、学ぶことができます。
基本的には、プログラミングの概念を楽しみながら学ぶためのツールとして広く使われています。
今回まず注目したいのは ”5. コミュニティと共有”の部分で 、Scratchの一番の特徴として、作品を中心としたオンラインコミュニティがあります。Scratchで作った作品は、簡単にオンラインで共有公開することができ、それにコメントをしたり、他の人の作品に基づいて自分の作品を作ったり(リミックスと呼んでいます)といった活動がしやすくなっています。
その際に、
- インターネットを通じて公開される
- 公開された作品を誰でも再使用できる
といったことができるということがポイントになります。
著作権とライセンスのときに話題になりましたが、インターネットを通じて公開されるということは私的利用の範囲を超えます。自分に権利のない素材を用いることができないのは注意が必要です。
また誰でも公開されている作品を使えるようにするために、Scratchで共有するということはライセンスとして“CC BY SA 2.0”というライセンスで公開されることになります。
そのことはScratchの利用規約に書かれています。
4. User-Generated Content and Licensing
4.1 For the purposes of the Terms of Use, “user-generated content” includes any projects, comments, forum posts, or links to third party websites that a user submits to Scratch.
4.2 The Scratch Team encourages everyone to foster creativity by freely sharing code, art, music, and other works. However, we also understand the need for individuals and companies to protect their intellectual property rights. You are responsible for making sure you have the necessary rights, licenses, or permission for any user-generated content you submit to Scratch.
4.3 All user-generated content you submit to Scratch is licensed to and through Scratch under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.0 license. This allows others to view and remix your content. This license also allows the Scratch Team to display, distribute, and reproduce your content on the Scratch website, through social media channels, and elsewhere. If you do not want to license your content under this license, then do not share it on Scratch.
https://scratch.mit.edu/terms_of_use
翻訳(Google翻訳)しながら見てみると4節が「4. ユーザー作成コンテンツとライセンス」とありユーザーの作るコンテンツに関するルールが書かれています。
まず、ユーザーが作るものを共有するときは、4.2 でユーザーの責任で使用している素材などの権利、ライセンス、許可があるかを確認することが求められています。
「4.2 Scratch チームは、コード、アート、音楽、その他の作品を自由に共有することで、誰もが創造性を育むことを奨励します。しかし、私たちは個人や企業が知的財産権を保護する必要性も理解しています。あなたには、Scratch に送信するユーザー作成コンテンツに対して必要な権利、ライセンス、または許可があることを確認する責任があります。」
そして 4.3 ではScratchで共有するものは誰でも再利用できる「クリエイティブ コモンズ表示 – 継承 2.0 ライセンス」が適用されるとあります。
「4.3 Scratch に送信するすべてのユーザー作成コンテンツは、クリエイティブ コモンズ表示 – 継承 2.0 ライセンスに基づいて、Scratch にライセンスされ、Scratch を通じてライセンスされます。これにより、他の人があなたのコンテンツを閲覧したりリミックスしたりできるようになります。このライセンスにより、Scratch チームは、Scratch Web サイトやソーシャル メディア チャネルなどを通じて、お客様のコンテンツを表示、配布、複製することもできます。このライセンスに基づいてコンテンツのライセンスを取得したくない場合は、Scratch でコンテンツを共有しないでください。」
以上のことから、Scratchで共有する作品はユーザーの責任で次のような条件を満たす必要があります。
- Scratchで共有すると誰でも再使用(商用非商用問わず)可能になることを許容できること
- 投稿するユーザーが自分で作ったもの、またはライセンスを得たものであること(再使用、再配布を含むライセンスが必要)
- ライセンスに従い、必要なクレジット表示などをすること
かなり厳しい条件になりますが、これが前提にあるということは常に気に留める必要があります。子供が勝手にやったということも考えられますが、16歳以下のアカウント作成は親権者等の同意の上アカウントを作成したはずですので責任は許可した方(保護者や教師・講師等)にかかってくることになります。
またこうした著作権侵害に関してScratchはDMCAに基づく著作権者の侵害報告を受け付け問題のある作品を削除したりしています。またそうしたプロセスによりプロジェクトを削除されたユーザーへはライセンスを取得していたことやフェアユースの範囲内であったことなどを根拠に抗弁できるとも伝えています。
ただしいずれの法律もアメリカでの法的根拠であり、日本ではどう影響するかはわかりませんので、日本の法律や習慣に則って行動する必要もあります。
10年以上前のニュースになりますが、パックマンというゲームの権利を持つバンダイナムコとScratchの間に起こった騒動について書かれた記事を共有します。
Scratch Wiki
https://ja.scratch-wiki.info/wiki/%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6
スラド
https://yro.srad.jp/story/10/08/04/0055201/#comments
特にスラドのコメントはいろいろな意見があって参考になりますね。
最後になりますが、基本的にCC-BY 2.0ライセンスとなっているScratchですが、Scratch Cat、Goboに関してはScratchチームがコピーライトを主張しているため単体でデザイン素材に使用するなどの行為は著作権侵害にあたりますので、こちらもご注意ください。