著作権とライセンスについて|TENTOと一緒に考えよう

子どもたちとプログラミングなどの創造的活動に取り組む際にしばしばぶつかる壁として著作権があるのではないでしょうか?

「大好きなキャラクターを主人公にゲームを作りたい。」
「ハマってるゲームの曲を使ってアニメーションを作りたい。」
「あのゲームのクローンをこの言語で作ってみたい」
「自分が作ったキャラクターを誰かに使われた」

教室等でよく目にするシーンかもしれません。こうした状況を明確に判断できるようになるために、私たち講師やスタッフは著作権やライセンスについてある程度知る必要があります。いくつか資料を見てみましょう。

著作権とは

著作権法の原文はこちらから見ることができます。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048_20230614_505AC0000000053

とはいえ法令の文面からその意味を理解するのは大変ですので、以下のようなガイドのテキストを参考にするのも良いでしょう。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/93726501.html

つまり、ざっくりまとめると誰かが作ったあらゆる物(というと大袈裟かもしれませんが)に著作権は発生すると理解すると、自分で作り出したもの以外使えないということになってしまいます。

たとえばインターネット検索して出てきたキャラクターの画像などを使いたいという場合、私的使用、私的複製の範囲で利用できる場合もありますが、その場合その作成物は公表できないことになります。

また、学校等の非営利の教育機関において複製が許されるケースはありますが、私たしたちTENTOをはじめ多くのプログラミング教室ではその適用も難しいでしょう。TENTOではそうした場面でなるべく生徒に著作権やライセンスの話をするようにしています。

一人で全てを作り出すならそれで良いですが、プログラミング等による創作活動の場合様々な素材を利用したり、複数のメンバーで協力して何かを作り上げるのでこのままでは困ってしまいます。そのためさまざまな形でライセンスするという方法があります。

ライセンスとは

Wikipediaによると
https://ja.wikipedia.org/wiki/ライセンス
「ライセンス(米: license、英: licence)は、それが存在しなければ違法となる行為をすることを許可すること、あるいはその許可を証する書面のことをいう。訳語は免許、認可、許可、鑑札など。」とあります。

著作物を利用したい人は、著作権者から許可(ライセンス)をもらうことでそれが可能になります。

直接交渉する

一番シンプルなのは作った人に直接連絡を取り許可をもらう方法です。日本の法律的には口約束も契約として認められるとありますが、言った言わないといった事後のトラブルを避けるためにも書面でやり取りを交わすといいでしょう。最近だとメールやメッセンジャーなどでもアカウントや日時がわかるようであれば書面の代わりになるでしょう。

著作者のライセンスに従う

そうしたやり取りの手間を減らすために予め作者が独自にライセンスを表明していることもあります。その場合はそちらを読み従うと良いでしょう。そこに書かれていることでは不足する状況について相談や、疑問点があれば問い合わせることになります。

様々なライセンスを用いる

また、各々が自分でライセンスを作ることを避けるためにいくつか有名なライセンスがあり、著作者が適用するライセンスを表明している場合もあります。これは特にコンピュータのソフトウェアライセンスにおいて盛んで、フリーウェアやプログラムを作成するのに必要になるライブラリなど、さまざまなものが再利用可能な状態になっていることが多いです。いくつか有名なライセンスを見てみましょう。

Creative Commons

Scratchを使っている方であれば聞いたことがあるかもしれませんが、Scratchのライセンスの理解だけではCreative Commonsのごく一部の側面しか見ていないことになります。
Creative Commonsはさまざまなケースに合わせたライセンスを宣言できるようにしたプラットフォームであり、音楽や写真、デジタルアートなど幅広い分野で使われています。
その内容もコピー禁止から再使用可能まで幅広くCreative Commonsを使って何を宣言しているかを確認するのが重要になります。
Scratchの場合「Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.0 license」というライセンスを宣言しています。

その意味は以下に示されています
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/deed.ja

他のライセンス形態を見てみるとScratchとは異なるライセンスもあることがわかります。(表示 – 非営利 – 改変禁止 2.0 一般)
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja

さまざまなソフトウェアライセンス

そのほかのソフトウェアライセンスについてChat GPT 4に「有名なソフトウェアライセンスを三つ上げてそれぞれ3行くらいで説明してください。」と聞いてみました。確認したところ内容に問題はなさそうですが、セカンドオピニオンとして他の参考リンクも追記しました。気になる方は1次ソースも探してみてください。

  1. GNU General Public License (GPL): GPLはオープンソースの最も有名なライセンスの一つで、ユーザーにソフトウェアの自由な使用、変更、および再配布を許可します。しかし、変更されたソフトウェアや派生作品も同じライセンス条項の下で配布する必要があります(いわゆる「コピーレフト」原則)。Linuxカーネルなど多くの重要なオープンソースプロジェクトで使用されています。

参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/GNU_General_Public_License

  1. MIT License: MITライセンスは、GPLに比べて制約が少なく、非常に柔軟なオープンソースライセンスです。このライセンスは、ソフトウェアを自由に使用、コピー、変更、再配布する権利を提供しますが、ライセンスおよび著作権表示を保持することを要求します。そのシンプルさから、多くのオープンソースプロジェクトで採用されています。

参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/MIT_License

  1. Apache License 2.0: Apacheライセンスは、ユーザーにソフトウェアの使用、変更、再配布を自由に許可する一方で、特許関連の権利を明示的に扱うことが特徴です。また、ソフトウェアが原因で発生した特許紛争においては、ライセンスを失効させる条項を含みます。Apacheソフトウェア財団によって開発された多くのプロジェクトで使用されています。

参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/Apache_License

こうしたライセンスがあるおかげで有用なライブラリなどを使ってプログラムを作ることができるようになっています。

著作権やライセンスについて意識して、子ども達にも伝えて行けたらいいですね。