“楽しい”だけでは続かない:子どもの学びに必要な動機づけとは?

皆さん、こんにちは!

「内的動機づけ」と「外的動機づけ」についてお話しします。これらは教育学ではよく知られた概念で、プログラミング教育の分野でも度々取り上げられる話題です。

「内的動機づけ」と「外的動機づけ」とは?

まず、内的動機づけとは、「やること自体が楽しい」という状態を指します。たとえば、子どもがスクラッチを使って楽しく学習を進める場合などです。一方で外的動機づけは、報酬や罰など外部からの影響によるものです。「スクラッチを1時間やったらおやつをあげる」というようなケースが典型的です。

一般的には「内的動機づけのほうが良い」とされています。自ら進んで学ぶ姿勢には価値がある、という考えですね。私自身も基本的にはそう思います。

内的動機づけ中心の考え方への違和感

しかし私はこの考え方に対して、以前から違和感を抱いていました。その違和感の背景には、主に2つの理由があります。

まず1つ目は、学習には「つらさ」もあるという点です。もちろん、楽しく学べる場面もありますが、深く学ぶためには難しい壁を乗り越える必要があります。特に語学の習得などはその典型です。この「つらさ」は学習において不可欠な要素であり、楽しさだけでは成り立たないのではないかと感じています。

2つ目は、子どもの学習に対して理想論ばかり語られることに対する違和感です。私たち大人が何かを学ぶとき、内的動機だけで取り組むことは少ないはずです。たとえば、職場で生成AIやExcelの学習を求められるように、外的な理由から学習することが多いでしょう。それなのに、子どもの学習にだけ「楽しいことがすべて」と言い切ってしまうのは、少々現実離れしているように思います。

実践から見える動機づけの現実

実際、私が子どもたちにプログラミングを教える中で、内的動機づけだけでは学習が進まない場面をたびたび見てきました。スクラッチやビスケットのようなビジュアル言語は、最初は楽しく感じられます。猫を動かしたり、魚を横に動かしたりすると、「自分で動かせた!」という喜びがあるからです。

しかし、その楽しさだけでずっと学習を続けられるかというと、そうではありません。ある段階で多くの子どもが止まってしまいます。スクラッチからPythonやC言語といったテキスト言語に進むには、新たなスキル(タイピング、画面操作など)が必要で、その壁が越えられないのです。

この壁を乗り越えるには、内的動機づけだけでなく、外的動機づけも必要ではないかと思います。たとえば、他人に認められることがモチベーションになる子もいます。それは「スクラッチをやって楽しい」ではなく、「スクラッチをやった結果、褒められること」が目的になっている。つまり外的動機づけですが、それも十分に肯定されるべきだと思います。

また、大人は他者との比較の中で学びます。「もっと稼ぎたい」「出世したい」といった動機も含め、内的と外的動機をうまくミックスしながら、自分をコントロールして学習しています。この視点は、子どもの学習にも必要だと考えます。

観察していて気づくのは、より高いレベルの学習に進める子どもたちは、自己意識が強いということです。「他の子と比べて自分はどうか」「もっとすごくなりたい」「この差を維持したい」など、他者との関係性を意識できるからこそ壁を乗り越えられるのです。これも外的動機づけの一種といえるでしょう。

まとめ

「やっていること自体が楽しい」というのは確かに美しいストーリーですが、現実にはそれだけでは不十分な場面も多いです。

内的動機づけと外的動機づけは明確に分けられるものではありませんが、あえて区別するなら、どちらも学習には欠かせない要素であり、うまくバランスを取ることが大切だと考えています。

まとめQ&A

Q1: 「内的動機づけ」と「外的動機づけ」とは何ですか?
A1: 内的動機づけとは、やること自体が楽しいという状態です。一方外的動機づけとは、報酬や罰など外部からの影響による動機のことです。

Q2: ビジュアルプログラミング言語で内的動機づけが発揮されやすいのはなぜですか?
A2: 「自分で動かせた!」という喜びを簡単に感じられるからです。

Q3: プログラミング学習の壁とはどのようなものですか?
A3: スクラッチのような簡単な言語から、PythonやC言語などのテキスト言語に移行する際に求められるスキルの高さから来る壁のことです。

Q4: どちらの動機づけを重視すべきですか?
A4: 片方のみを重視するのではなく、内的・外的動機づけ両方を組み合わせ上手くバランスをとることが重要です。

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