ちからたろう

こんにちは、竹林です。今回は子供のころの思い出についてお話しします。

たしか小学4年のころ、夏休みに「オリジナルの昔話を作ってきなさい」という国語の宿題が出されました。わりと苦労したのですが、書き出しが決まるとするするとおしまいまで書き終えることができて、無事提出できました。

そして二学期が始まって最初の国語の授業が、作ってきた昔話の発表会でした。みんなが自分の作ってきた昔話を呼んで聞かせます。そこで私が発表をすると、周りがざわつきました。

「あの話にそっくりだよね」「これ、力太郎じゃん」

はい。そのとおりでした。私が書いた物語は力太郎という、以前教室で読んだ昔話にそっくりでした。そっくりどころか、男の子が子どものいない夫婦に生まれること。その子が人間の垢から生まれること。長じて冒険にでかけて悪者をやっつけること。全部同じでした。主人公の名前だけが違うのでした。私は自分でも似ていると思っていたので、一言も言い返せず、下をうつむいたままでした。みなに叱責される時間はとてつもなく長く感じられたのをおぼえています。


そのとき何も言い返せなかった私は、宿題をこなすためにただ真似をしたのではなかったのです。私はそのとき、ほんとうに力太郎という話が好きだったんです。垢から生まれることだったり、それほど起承転結のないその物語の展開が好きだったんです。たぶん、「自分の好きな話を表現しようとしたら力太郎になってしまった」ということだと思います。

いま、TENTOで子どもたちの作るものを見ていると、市販のゲームだったり、アニメだったりにそっくりのものを見ることがけっこうあります。けれど、彼らをオリジナリティが無いからとなじる気分にはわたしはなれません。彼らはきっと、小4の私のように、本当にそのゲームが好きで、自分の表現をすることがそのままそのゲームの表現に近づいていしまうだけなんです。

もしタイムマシンがあったなら、あのときうつむいて泣いていた私の頭をさすってあげたい。