Minecraft Education 2015 レポート① 基調講演 妹尾堅一郎先生

投稿 : 神谷加代  2015年8月13日

こんにちは。ブログ管理人の神谷です。
8月8日、9日の週末に開催された『Minecraft Education 2015〜こどもとおとなのためのMinecraft』のイベント。なんと、なんと、猛暑の中、延べ1500名の方にお越し頂きました。皆様、ありがとうございます!

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TENTOブログでは、こちら2日間のイベントの模様を順々に紹介していきたいと思います。

まずは、本イベントの基調講演に登壇されたNPO法人産学連携推進機構理事長の妹尾堅一郎先生のお話をレポートしましょう。ゲームがなぜ子供たちの学習に良いのか。妹尾先生のお話がとても分かりやすかったので、みなさんに知って頂きたいのです。題して『「遊び」を通して「学ぶ」、「遊び」の復権と「ゲーム」の再考』です。

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小学生の65%以上は、将来、今は存在しない職業に就くだろう

みなさんは、この言葉を聞いたことがありますか?
教育業界ではよく語られる有名な言葉ですが、これは米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏の言葉です。

今、データサイエンティストやビジネスモデルアナリストなど新しい名前の職業が生まれていますが、これらの職業は10年前には存在しませんでした。それが産業構造の変化やテクノロジーの進化とともに新たな職業として登場し、今後もこのような動きは加速すると予測されています。

それにしても、この65%という数字、高くないですか?よく子供たちに「将来の夢は?」なんて聞きますが、そもそも、子供たちがなりたい職業があるかどうかさえ、これからの時代はわからないのです。妹尾先生曰く、「ネットワークの時代では、産業生態系が加速度的に変わる」とのこと。これからの社会は、さらに劇的に変化をしていくということですね。

このような先の読めない時代の中で、子供たちを育てる時に大切なことは何でしょうか?妹尾先生は人材教育の視点から、「時代に対応できる人材」と「時代をつくれる人財」が重要だといいます。

つまり、どんな時代が来ようとも、どんな仕事がメジャーになろうとも、知力・気力・胆力などを備えた時代に対応できる人材が必要だといいます。一方で、それだけでは時代に対して受け身であることから、新しい時代や価値を生み出せるような “人財” も育成していく必要があると述べました。

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先が読めない時代の中、今後の教育はどうあるべきか?

このような時代変化や将来の予測を受けて、今後の教育、子供たちの学びはどうあるべきなのでしょうか?妹尾先生は2つの提言をしています。

ひとつ目は、“教育とは「学習者」の創造である“ ということです。これは、勉強をできる人を育てようという意味ではなく、「学ぶ」「考える」「気づく」ことに対してワクワクできる人を育てようというものです。

逆に、学習者を貯金箱のように見立てて、どれだけ知識を詰め込めるかというような学びは辞めようと、学び自体を楽しみ続ける人を作ることが教育者の役目ではないかと話されていました。これには私も母親のひとりとして、子供たちへの接し方を考えさせられた言葉でありました。

もうひとつは、教育には「皆と同じことがいえる」と「他人と違うことをいえる」の2つの視点があり、このバランスが大切だということです。

これまでの日本はあまりにも「皆と同じことがいえる」ことがが強調され、「他人と違うことをいえる」を排除してきました。一方で、イノベーションが大切だとも大人は子供に語ってきました。しかし、これからの教育は、これら2つのバランスが備わる教育をしていかなければならないと、妹尾先生は聴衆に向けて訴えました。

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遊びを通して学ぶとき、ゲームは欠かせない触媒になる。

具体的に子供たちが物事を学ぶ方法はいろいろあります。講義、ワークショップ、ドリルなど、方法はさまざまですが、大半は先生が生徒へ知識を伝授するスタイルが定番です。しかし、これからの時代を生きる子供たちには、この学びだけではあまりにも受け身すぎるでしょう。

妹尾先生は、学習者同士、または学習者と先生が共に学び合い、教え合う『互学互修』が必要だといいます。例えば、体系的に学ぶことが難しい最先端の分野や新しい領域は、教師も教えることが難しく、学生と一緒に学ぶしかありません。つまり、コラボレーションが多く生まれる学習が必要になってくるわけですね。

互学互修を実践するひとつの方法としてゲームが有効だといいます。この考え方は、今に始まったわけではなく昔からあったようですが、ゲームというのは、互いに教え合い・学び合うことを発生しやすい教育方法だというのです。

確かに、マインクラフトをやっている子供たちを見ていると、互いに知っていることを教え合ったり、分からないことを質問し合ったりする光景を見かけます。彼らが学んでいる内容は、決して、学校のお勉強とは異なりますが、「自分が欲しい情報や知識をどのように手にいれるか」という学びをゲームを通して体験的に学んでいるともいえます。

さて、ここでもう一度、ゲームを再考しましょう。子供たちはゲームをしている時に、とある学習プロセスの中にいるといえます。そして、子供にとってゲームは遊びである以上、ゲーム=遊び=学習という相関性が成り立つともいえます。妹尾先生は本イベントのキャッチコピーである「勉強と一緒にゲームができたらサイコーなのに」を取り上げ、まさにこのイベントはゲームは学びであることを意味づけるのではないかと基調講演を締めくくりました。